飲酒運転防止インストラクター 松本千賀子さん(ASK)にインタビュー

2010年度 自賠責運用益拠出事業/飲酒運転防止インストラクター養成

悲惨な飲酒運転事故を根絶するために、(NPO)ASK(アルコール薬物問題全国市民協会)が実施している「飲酒運転防止インストラクター養成事業」を支援しています。
「飲酒運転防止インストラクター養成事業」の目的や意義について、実際に受講された社会保険労務士・松本 千賀子さんにお話しを伺いました。

知らぬ間に飲酒運転をしてしまう危険性

 私は、社会保険労務士として運送会社の人事労務管理を行っており、従業員の健康管理・労務管理面から飲酒運転防止活動を行っています。運送会社の社員はプロのドライバーであり、公私ともに飲酒運転は絶対にあってはならないことです。また、会社としてもアルコールチェック機器を導入し飲酒運転の撲滅に力を入れています。しかし、プロのドライバーであっても必ずしもアルコールの正しい知識を身に付けているとは言えず、聞こえてくるのは「仮眠したから大丈夫」「飲酒後8時間寝れば大丈夫」「朝に、味噌汁やウコンを飲めば大丈夫」・・という根拠の無い間違った認識です。これでは、いくらアルコールチェックをしても飲酒(残酒)運転を防止することができません。飲酒運転を防止するためには、従業員一人一人が正しいアルコールの知識をもち、体に良い飲み方を理解し、実践することが基本だからです。

アルコール1単位を体内で分解するには4時間かかる

 私が受講したASKの「飲酒運転防止インストラクター養成講座」は、通信講座とスクーリングの2本立てになっており、アルコールに対する正しい知識とともに、飲酒習慣の変え方などの飲酒運転を防止させるための必要な知識を身につけることができます。
 この講座を受講すると「飲酒後8時間寝れば大丈夫」という認識が本当に危ないということが分かります。アルコール20g(これを「1単位」とします。)は、ビール500ml缶1本、日本酒1合に相当します。1単位のアルコールを体内で分解するには体格や性別にもよりますが、最低4時間は必要であり、缶ビール3本を飲めば半日(12時間)は体内にアルコールが残っています。もし、この状態で車を運転すれば酒気帯び運転になるのです。

通信講座テキスト

飲酒運転者を出さない

 厳罰化の影響も受けて、運送業界の飲酒運転に対する取組みは、以前にも比べて積極的に行われるようになりました。かつては、従業員への「飲酒運転防止の講習会」を提案しても「ウチには飲酒運転をする者がいないから必要がない」という反応が多く見られました。しかし、今では飲酒運転防止そして従業員の健康管理対策からも「アルコールの正しい知識」が必要だと考える会社が増えてきました。
 私の飲酒運転防止インストラクターとしての活動を通じて、「会社の懇親会で飲み放題はやめた」とか、「飲酒習慣を見直した」という反応が増えてきたことを実感しています。運送会社の従業員だけでなく、多くの人が正しいアルコールの知識、飲酒習慣を身につけてくれることを目指して今後も活動を続けていきます。