自賠責運用益拠出事業について

日本損害保険協会

自動車事故医療研究助成における不適切報告について

2026年1月16日
一般社団法人 日本損害保険協会

今般、後遺障害認定対策として運用益を拠出している自動車事故医療研究助成(公募)において、助成金受領者が損保協会に対して事実と異なる助成金使途の報告をしていたことが判明しました。

自動車事故医療研究助成とは

自賠責運用益拠出事業では、自動車事故被害者の保護の増進に資する、1.自動車事故防止対策 2.救急医療体制の整備 3.自動車事故被害者対策 4.後遺障害認定対策 5.医療費支払適正化対策 を助成対象としています。このうち、今般の不適切報告があった4.後遺障害認定対策は、自動車事故医療研究に対する助成を、自賠責運用益使途選定委員会で審議・承認しておりますが、具体的な助成先は、医学各分野の専門家で構成された交通事故医療研究助成実施要領が定める選考委員会(事務局:損保協会)が公募された研究から選考しております。

自動車事故医療研究助成で判明した事案の内容と判明の経緯

慶應義塾大学 医学部 整形外科学教室内で行われた会計調査において、2021年度から2023年度に採択された同教室に所属する研究員が作成・提出した助成金使途報告書に事実と異なる報告(助成金が未執行であるにもかかわらず、剰余金なしと報告)があることが判明し、同大から損保協会に申し出がありました。その後、同教室における他の案件を調査した結果、同期間に行われた他の一部の研究においても事実と異なる報告があることが判明しました。

事案の発生原因

助成金の剰余は、コロナ禍に伴う研究室閉鎖や実験延期に伴う研究遅延等により発生しました。事実と異なる報告に至った原因は、助成金受領者個人の問題に加えて、大学内の組織的なチェック体制の不備や、損保協会における運営体制が、本件のような事案に対して十分にチェック効果を発揮できなかったことであると考えております。

余件調査

本事案の判明後、直ちに余件調査に着手し、これまでに、損保協会と同大医学部整形外科学教室において、2021年度から2024年度の期間内に行われた、同教室内の他の助成案件に対し、研究者へのヒアリングや領収証の再確認を行いました。あわせて損保協会では、2021年度から2024年度にかけて行われた全ての医療研究助成先204件、医療研究助成以外の事業(上記1~3、5)で優先的に確認すべきと判断した助成先47件の報告書の再確認を行いました。現時点で判明している事案以外に問題は見つかっておりませんが、今後、2021年度以降の全事業について、再点検を進めてまいります。

処分

「交通事故医療研究助成実施要領」第18条に基づき、該当事案の助成金を全額返金する。

再発防止策

自賠責運用益拠出事業の運営において不正行為の検知および防止・牽制機能を働かせるため、2025年度中を目途に速やかに実施要領等の改定や損保協会による不正チェックの強化措置を講じます。また、今般、不適切報告があった後遺障害認定対策(自動車事故医療研究助成)の事業運営に関する検証や余件調査の結果を踏まえ、必要に応じて追加対応を講じてまいります。

損保協会として今回の事案を厳粛に受け止め、今後このようなことが起こらないよう、再発防止を徹底してまいります。