2017年度 自賠責運用益拠出事業一覧

自動車事故防止対策

交通事故防止のための啓発・教育

「飲酒運転防止のための啓発事業支援」(ASK(アルコール薬物問題全国市民協会))
  • 飲酒運転による事故は厳罰化などによって減少傾向にはあるが、未だ重大な事故が発生している。
  • 2014年6月にアルコール健康障害対策基本法が施行されたことも踏まえ、広く一般市民向けに公開スクーリングや啓発活動を行い、飲酒運転防止を呼びかけていく。
拠出額:5,200千円

交通事故防止機器の寄贈

「交通事故防止用機器の寄贈」(警察庁(都道府県警察))
  • 都道府県警察への交通事故防止用機器の寄贈を通じ、交通事故の防止・抑制を図る。
  • 寄贈機器は、常時録画式交差点カメラ、歩行者模擬体験教育装置および運転者擬似体験型集合教育装置とする。
  • 歩行者模擬体験教育装置は、高齢者などへの交通安全教育に有効である。また、「運転者擬似体験型集合教育装置」は、受講者個々の危険予測能力を視覚的に表示し他者と比較を行うことにより、危険予測能力と交通安全意識の向上が期待される。
拠出額:58,339千円
「自転車事故防止のための交通安全教育支援」(全日本交通安全協会)
  • 警察統計によると、自転車事故の9割は対自動車・二輪車事故であり、自転車乗用中の事故による死傷者の6割以上がルール違反によるものである。
  • 都道府県交通安全協会に自転車シミュレーター(10台)を寄贈し、交通安全教室等で活用することにより、自転車利用者に対して、自転車の安全な利用、ルール遵守等を徹底し、事故防止を図る。
拠出額:12,020千円

交通事故防止に関する研究

「高齢者交通事故の原因とその施策に係る研究」(交通工学研究会)
  • 今日的観点から高齢者事故(加害・被害事故の両面)に関する既存知見の整理および事故原因の分析を行い、関係機関等で活用可能な具体的施策を研究する。
  • 高齢者の運転特性・事故特性を一層正確に把握するために以下の実態調査・実証実験・分析を行う。
    1. 高齢運転者事故の発生状況に関する世代別・地域別データの詳細分析
    2. フィールド調査による高齢運転者の交通行動特性(身体特性・認知特性・心理特性)分析
    3. 道路状況と高齢運転者・高齢歩行者心理の関連性分析(道路の形成経緯調査や高齢運転者の表情分析含む)
    4. 高齢横断歩行者用の中央島・安全島の設置による効果・運用手法の分析
  • 3年目は、ドライブレコーダーを収集し、過年度データとあわせて解析し、交通安全施策に資する検討および試行した安全施策の評価を行う。また、3ヵ年の研究を取りまとめ、広い視点から高齢者交通安全施策の提言を行う。
拠出額:18,000千円
「運転可否判断支援尺度日本版による運転能力評価」(佐賀大学)
  • 米国で開発された運転可否判断尺度(FTDS)の日本語版を作成し、英語への逆翻訳と開発者との検討の後、質問紙版を作成し試用開始する。質問紙データと走行データによる妥当性、信頼性の検証と、高齢者対応など日本の実状に合わせ改良を行う。
  • 高齢者等が、自己の運転能力評価を行うことで、運転行動の修正機会が得られ交通安全に寄与できる。
拠出額:5,000千円
「地域住民との協働による高齢者交通事故防止のためのモデル事業支援」(安全と安心 心のまなびば)
  • 「高齢者安全・安心特区」を定め、同地区の教育委員会やPTA、連合町内会、シルバースクール、老人クラブ等の諸団体と連携し、高齢者交通事故を防止するためのモデル事業を実施する。具体的には、地域内でシルバーリーダーを養成して、高齢者に対する交通安全教育・指導等を行い、交通事故防止に寄与することを実証する。
  • 地域一体で取組むことが特徴であり、本事業の成果を学会等で発表することで、将来的な全国展開も期待される。
拠出額:5,900千円
「高齢運転者の事故予防に向けた運転能力の適正評価と早期介入に関する研究」(日本交通科学学会)
  • 高齢運転者による事故の特徴を医学的・工学的に解析し、事故と心身機能の関係を調査する。
  • それを踏まえ、早期介入の重要性を啓発するとともに、医療現場で簡便に運転能力を見極める手法を考案することで、運転者への適切な指導を行えるようにし、高齢運転者の事故防止に寄与する。
拠出額:6,000千円
「高齢歩行者の視力と交通事故に関する研究」(実践女子大学)
  • 運転免許を保有しない高齢歩行者は、運転免許更新時に視力検査のある免許保有者と比べて視力低下を認識しづらく、歩行中事故の危険性が高い可能性がある。
  • 本研究では、免許保有高齢者と非保有高齢者の双方の視力に関する調査を行うとともに、高齢歩行者事故の事例調査を行い、視力低下・視覚障害と事故の関係を明らかにし、高齢歩行者事故の防止に寄与する。
拠出額:3,500千円

救急医療体制の整備

救命救急医療機器・機材の寄贈

「救急医療機器購入費補助」(日本赤十字社)
  • 医療収入以外の収入を主に寄付に依存する公的病院に対して交通外傷に有効な医療機器の購入費を補助することにより救急医療体制を整備し、救命率の向上、医師・患者の負担軽減を図る。
拠出額:195,067千円
「救急医療機器購入費補助」(済生会)
  • 医療収入以外の収入を主に寄付に依存する公的病院に対して交通外傷に有効な医療機器の購入費を補助することにより救急医療体制を整備し、救命率の向上、医師・患者の負担軽減を図る。
拠出額:155,976千円
「救急医療機器購入費補助」(北海道社会事業協会)
  • 医療収入以外の収入を主に寄付に依存する公的病院に対して交通外傷に有効な医療機器の購入費を補助することにより救急医療体制を整備し、救命率の向上、医師・患者の負担軽減を図る。
拠出額:17,266千円
「救命救急センターへの救急医療機器購入費補助」(日本外傷学会)
  • 交通事故による重症患者が搬送される救急救命センターにおける救急医療機器の導入を支援し、救急医師の負担軽減、患者の病態改善に迅速に対応し、防ぎえた死亡の減少を図る。
  • 日本外傷学会内に支援病院の選定委員会を組織し選定を行う。選定機器は救命率向上に有効な機器とする。
拠出額:120,000千円
「高規格救急自動車の寄贈」(消防庁)
  • 被害者救済に直結する高規格救急自動車の寄贈を通じ、救急医療体制の整備に資する。救急救命士による応急措置の高度化、救命率の向上が期待される。
  • 普及率は一定の水準に達したが、耐用期間満了による更新ニーズを勘案し、寄贈台数を5台とする。
拠出額:50,000千円

救急医師・救急看護師の育成

「救急外傷診療の研修会費用補助」(日本外傷診療研究機構)
  • 外傷診療を行う医療従事者を対象とする「救急外傷における適切な標準治療に関する研修会」開催費用を補助し、救急医療体制の整備を図る。防ぎえた死亡を減少させることが期待される。
拠出額:10,000千円
「救急外傷看護の研修会費用補助」(日本救急看護学会)
  • 外傷看護を行う看護師を対象とした「救急外傷患者看護に関する研修会」開催費用を補助し、救急医療体制の整備を図ることで、防ぎえた死亡を減少させることが期待される。
拠出額:8,500千円
「献体による外傷手術臨床解剖学的研究会費用補助」(東京医科大学)
  • 交通事故被害者の救命、重症化を防ぐためには、外科医・救命医による外傷手術の技術向上は欠かせない。
  • 献体による外傷手術研修は、解剖学的基礎に基づいたアプローチ法と術野の理解を指導することにより、受講後すぐに実臨床での応用が可能となる。
  • 本研修をより多くの外科医・救急医が受講することで、外傷治療水準・教育の向上、ひいては交通事故被害者の被害軽減に寄与する。
拠出額:6,000千円

ドクターヘリ事業の推進

「ドクターヘリ講習会費用補助」(日本航空医療学会)
  • ドクターヘリ関係者(医師・看護師・運行者等)を対象とした「ドクターヘリ講習会」開催費用を補助し、救急医療体制の整備と被害者救済を図る。救命率の向上、医療費の削減等が期待される。
拠出額:3,500千円
「ヘリコプターを活用した救急医療システム構築のための事業補助」(救急ヘリ病院ネットワーク)
  • 救急ヘリコプターに関する広報誌「HEM-Netグラフ」の発刊・配布、ホームページを通じた広報・啓発活動を支援する。
  • 救急ヘリコプターによる医療効果は高いとされており、その重要性と必要性について、社会一般の認識・理解を一層高め、ドクターヘリの普及・円滑な運行に寄与する。
拠出額:7,000千円

自動車事故被害者対策

交通事故相談等への支援

「交通事故無料相談事業支援」(交通事故紛争処理センター)
  • 交通事故による当事者間の紛争の適切な処理に資するため、同センター嘱託弁護士による無料の法律相談、和解あっ旋等の事業を支援する。
  • 保険会社の利益に属さない自賠責運用益を活用することで、中立的な立場から事業を行い、迅速な紛争解決を図ることが期待される。
拠出額:837,421千円

交通遺児の支援

「損害賠償金による交通遺児育成基金事業支援」(交通遺児等育成基金)
  • 交通遺児の賠償金を効率的・安定的に運用して、遺児育成のための資金を長期にわたり定期的に給付する制度を支援し、交通遺児の保護・救済に資する。
拠出額:13,446千円
「交通遺児への奨学金支給補助」(交通遺児育英会)
  • 交通遺児家庭、特に母子家庭の生活を支えるために、高校や大学等への進学のための奨学金貸与の要請は高まっている。一方、金融環境の悪化等により本育英会の運営は不安定な状況にある。
  • 本育成会の交通遺児就学支援事業(奨学金貸与等)を支援することにより、交通遺児の教育の機会均等を図る。
拠出額:30,000千円

被害者・家族等の心のケア、講習会の支援

「遷延性意識障害者の家族の介護に関する講演会および勉強会開催費用補助」(日本意識障害学会)
  • 遷延性意識障害(植物症)の患者を介護する家族への情報提供の場として、講演会・勉強会を開催し、全国における事例を紹介して、介護に関する種々の情報を提供する。遷延性意識障害者とその家族が直面する課題等への支援が期待される。
拠出額:2,000千円
「リハビリテーション講習会開催費用補助」(リハビリテーション病院等)
  • 交通事故による脳外傷や脊椎損傷などで重度後遺障害を被った被害者やその家族に対する講習会費用を補助する。講習会(注)を通じて、適切な情報提供、意見交換、交流が期待される。
    (注)各都道府県のリハビリテーション病院を中心に、医師、医療・福祉関係者、家族、行政機関等で構成する講習会実行委員会を立ち上げ、企画・運営する。
拠出額:41,000千円
「脊髄損傷当事者によるピアサポート事業支援」(全国脊髄損傷者連合会)
  • 脊髄損傷者(ピアマネージャー)による脊髄損傷者のためのピアサポート活動(注)を支援する。脊髄損傷者への情報提供、早期社会復帰が期待される。
    (注)リハビリセンター・医療機関等に入院中の脊髄損傷者およびその家族を対象としたグループ相談会開催、ピアマネージャーの派遣、病院・自宅等個別訪問、ロールモデル(社会復帰をとげた脊髄損傷者)の派遣及び講演会の実施、ピアマネジャーの現任研修会の実施等。
  • 2017年度は、ピアサポート事例のデータベース化を行い、活動の効率化・強化を図る。また、交通事故被害者等に対して社会資源の情報を提供するためのセミナーを開催する。
拠出額:10,420千円
「被害者・その家族等の心のケア推進事業支援」(全国被害者支援ネットワーク)
  • 交通事故等の被害者支援活動を推進するための広報活動(「被害者支援ニュース」および「被害者の声」の発行)を支援する。
  • 広報活動を通じて被害者支援の理解を深めることで、交通事故被害者の支援活動の充実が期待される。
拠出額:2,100千円
「交通事故被害者への情報提供・研修会開催費用補助」(自動車事故被害者団体等)
  • 交通事故による被害者やその家族に対する情報提供を目的とした研修会・勉強会の開催費用を補助する。研修会・勉強会を通じて、交通事故被害者やその家族に対する適切な情報提供、意見交換、交流が期待される。
拠出額:8,500千円
「eラーニングを活用した交通事故被害者生活支援教育と中核的人材の育成」(日本医療社会福祉協会)
  • 2009〜2011年度に医療ソーシャルワーカーを対象とした「交通事故被害者生活支援教育研修事業」を実施した。その後も同研修を継続しているが、対象を他の専門職(社会福祉士・介護福祉士・ケアマネージャー等)にも広げて、eラーニングによる交通事故被害者支援に関する基礎研修を実施する。
  • また、基礎研修修了者を対象に実践的な上級レベルの研修を実施し、地域における交通事故被害者支援の中核的人物を育成する。
  • 専門職の交通事故被害者支援に関する知識の向上を図ることで、地域における充実した被害者支援が期待される。
拠出額:15,000千円
「グリーフケア人材養成講座の運営支援・受講料補助」(上智学院)
  • 交通事故等により家族を失った遺族等の悲嘆に寄り添う人材を育成するため、上智大学グリーフケア人材養成講座の運営を支援する。
  • また、交通事故遺族関係者が本講座を受講する場合、受講料の一定額を補助する。
  • グリーフケア人材を養成することによって、交通事故被害者遺族等の「心のケア」の推進に資することが期待される。
拠出額:12,000千円

研究支援

「MRIにおける頚椎加齢変化の縦断的研究」(慶應義塾大学)
  • 2005〜2007年度事業において、健常者とむち打ち損傷患者を10年間追跡調査を行い、MRI上の加齢変化の進行について両群に差がなく、むち打ち損傷の長期予後が良好であることが見出された。
  • 今回、20年間追跡調査を行い、さらに長期の加齢変化の進行を明らかにすることは、公衆衛生学的、交通医学的に極めて重要な研究であるとともに、交通事故によるむち打ち損傷患者に対して、明確な説明と円滑な治療を行うことが期待される。
拠出額:10,000千円
「高次脳機能障害者支援における多職種連携に関する研究」(神奈川工科大学)
  • 高次脳機能障害者支援には各都道府県ごとに配置された支援コーディネーターを中心とする多職種の支援者間の連携が不可欠である。
  • 高次脳機能障害者支援に携わる多職種連携について、医療・障害福祉・介護保険・就労支援等の様々な支援制度に関する情報共有およびコンサルテーション・事例検討会を実施する手法を確立することで、支援に有用な知識・ネットワークの構築に寄与できる。
拠出額:3,000千円
「脳外傷・脊髄損傷患者に対する経頭蓋磁気刺激を併用したリハビリテーションによる運動機能改善効果の検証に関する研究」(千葉県身体障害者福祉事業団)
  • 脳外傷および脊髄損傷患者は重篤な運動障害を生じる。近年、従来型の治療法に加え、ニューロリハビリテーションやロボット機器を使用したリハビリテーションが展開されている。
  • 本研究は、これらに加え、エビデンスの確立した運動障害に対する治療法に経頭蓋磁気刺激を併用することで治療効果の増強につながる可能性があるとともに、臨床に還元しやすいことが利点である。
拠出額:372千円
「高次脳機能障害者家族による家族支援サポートシステム構築に向けたプログラム作りへの支援」(聖隷三方原病院)
  • 高次脳機能障害者の家族が、支援者として当事者や他の家族支援が可能となるような研究・教育プログラムを構築する。
  • 本プログラムの作成、全国展開により、当事者や家族自身の支援のみならず、他の家族支援に発展させ、現場での支援者としての役割を果たすことで高次脳機能障害者支援に関わる全ての職種の負担軽減につながり、結果として、高次脳機能障害者・家族への支援拡大が期待できる。
拠出額:10,000千円

後遺障害認定対策

公募による研究助成

「自動車事故医療研究助成」(公募)
  • 交通外傷に関する有益で有効な研究を支援することで、医療の進歩に資することが期待される。
  • 助成は、課題を定めずに募集する「一般」と時宜に適った課題を複数特定して募集する「特定課題」の2種類とする。
  • 助成テーマは、学識経験者で構成する選定委員会において決定する。
拠出額:70,000千円

医療費支払適正化対策

医療費支払適正化の取組み

「医療費支払適正化のための医療研修」(日本損害保険協会)
  • 損保会社等の自動車損害調査担当者向けに交通事故医療に関する研修を行い、医療費支払いの適正化を図る。
  • 研修は、応用、研究、上級、専門の4つのコースを設けて実施する。
拠出額:105,284千円
「自賠責保険診療報酬基準案普及促進費」(日本損害保険協会)
  • 1984年12月の自賠責保険審議会答申の指摘に基づき、自賠責保険の支払保険金の適正化のため、「自賠責保険診療報酬基準案」を全国で普及させ、医療費支払いの適正化を図る。
  • 各地区において普及率向上に向けた活動等を行う。
拠出額:44,350千円
「民間医療機関の医師等への自賠責保険制度・運用等に関する研修」(日本医師会)
  • 医師等に対し自賠責保険制度・運用等に関する研修を全国各地で実施し、医療費支払いの適正化を図る。
  • 2000年6月の自賠責保険審議会答申の指摘に基づき実施している。
拠出額:9,000千円