各種研究成果一覧

日本損害保険協会では、自賠責保険の運用益を活用して、交通事故被害者保護を増進するための様々な事業を実施しています。その中には、各分野で研究成果が公表・活用されているものも数多くありますので、ご紹介します。

なお、詳細につきましては、リンク先の各団体へお問い合わせください。

自動車事故防止対策

「地域密着型交通安全教育の方策開発と普及活動支援」((NPO)安全と安心 心のまなびば)

従来の交通安全教育は多人数の集合教育が一般的ですが、全員参加となりにくいことから、より効果的なアプローチ方法の開発が必要であると考えられます。そこで、(NPO)安全と安心 心のまなびばが2019〜2021年度に行った事業では、少人数による「個への教育」を重視し、町内会や学区、家庭等の「小さな単位」における交通安全教室の定型化およびマニュアル化を図り、全員参加・体験型の交通安全教育を実施することで、各個人へのきめ細かい交通安全意識の教育・定着を図るとともに、地域の安全のみならず地域の活性化を図ることも狙いとして、交通安全教育手法や各種ツールの開発と普及活動を行いました。

「歩行者事故低減に向けた子どもに対する安全教育および周囲の監視に関する研究((一財)日本自動車研究所)

飛び出し等も含め、自動車対歩行中の事故に占める子どもの割合は極めて多く、痛ましい事故が後を絶ちません。そこで、(一財)日本自動車研究所が2019〜2021年度に行った研究では、子どもの発達段階に配慮して交通安全教育および周囲の監視(見守り)活動を遂行する必要があるとして、交通安全教育や監視に関する基礎データを収集のうえ、子どもの発達段階に応じた交通安全教育プログラムおよび監視活動の普及促進の可能性とその要件を明らかにしました。研究成果は、学会等でも公表されました。

「体調変化に起因する事故を予防するためのモデル事業支援」(日本交通科学学会

日本交通科学学会では、2011〜2013年度事業として実施した「疾病等起因事故の調査研究」により、交通事故の5〜10%が運転者の体調変化に起因することを明らかにしています。 本モデル事業では、運転中の体調変化に起因した事故を予防する具体的方法について、実態調査も踏まえて立案、実践し、啓発していきます。研究成果は、シンポジウムで公表されました。

「地域住民との協働による高齢者交通事故防止のためのモデル事業支援」((NPO)安全と安心 心のまなびば)

安心と安全 心のまなびばでは、2016~2018年度事業として、「高齢者安全・安心特区」を定め、同地区の教育委員会やPTA、連合町内会、シルバースクール、老人クラブ等の諸団体と連携し、高齢者交通事故を防止するための活動を実施しました。同事業の研究の一環として実施した高齢運転者アンケート調査結果が公表されています。

「高齢歩行者の視力と交通事故に関する研究」(実践女子大学)

運転免許を保有しない高齢歩行者は、運転免許更新時に視力検査のある免許保有者と比べて視力低下を認識しづらく、歩行中事故の危険性が高い可能性があります。実践女子大学では、免許保有高齢者と非保有高齢者の双方の視力に関する調査を行うとともに、高齢歩行者事故の事例調査を行い、視力低下・視覚障害と事故の関係を研究しました。研究成果については、順次学会等で公表します。

自動車事故被害者対策

「交通事故等の遺族による被害者等の生きた証を伝承する活動が心のケアに寄与する影響に関する調査」(関西学院大学)

近年、交通事故被害者等の遺族へのサポートとして「グリーフケア」の必要性が高まりつつあります。そこで、関西学院大学が2019〜2021年度に行った研究では、死者の生きた証を伝承する活動が当事者遺族の適応過程に有益であり、社会にとっても「いのち」を考える有意義な機会となりうることを示唆し、また、深い悲しみにある遺族が死者との対話を続けながら生きた証を伝承しようとする活動を支えることも一つの支援になりうることを明らかにしました。研究成果は、学会等でも公表されました。

「高次脳機能障害者の自動車運転再開認定基準の策定」(産業医科大学

脳卒中患者の自動車運転に関しては我が国でも多くの報告がありますが、脳卒中や高次脳機能障害に対する統一的な運転再開基準や確立された評価法はなく、実態として運転再開者の事故を防止することはできていません。産業医科大学では、従前の研究の成果を今後の学際的な臨床研究に反映することで、より精緻な自動車運転再開認定に資するプログラムや基準を示すための研究を行いました。

「学童期・青年期にある高次脳機能障害者に対する総合的な支援に関する研究」(富山県社会福祉総合センター

交通事故等により小児期に発症した高次脳機能障害児者に対する支援は未だ十分ではありません。富山県社会福祉総合センターでは、学童期の集団活動に必要なプログラム、医療機関と教育機関の支援の連携、家族支援プログラムを検討し、支援モデルを作成し全国に普及するための研究を行いました。研究において得られた成果を冊子としてとりまとめています。

「高次脳機能障害者支援における多職種連携に関する研究」(神奈川工科大学

高次脳機能障害者支援には、各都道府県に配置された支援コーディネーターを中心とする多職種の支援者間の連携が不可欠です。神奈川工科大学では、高次脳機能障害者支援に携わる多職種連携について、医療・障害福祉・介護保険・就労支援等の様々な支援制度に関する情報共有およびコンサルテーション・事例検討会を実施する手法を確立し、支援に有用な知識・ネットワークを構築するための研究を行いました。事例検討を通じて得た具体的な支援上の留意点や制度面の活用を手引きとしてとりまとめています。

「脳外傷・脊髄損傷患者に対する経頭蓋磁気刺激を併用したリハビリテーションによる運動機能改善効果の検証に関する研究」(千葉県身体障害者福祉事業団

脳外傷および脊髄損傷患者は重篤な運動障害を生じます。近年は、従来型の治療法に加えて、ニューロリハビリテーションやロボット機器を使用したリハビリテーションが展開されています。千葉県身体障害者福祉事業団では、これらに加えて、エビデンスの確立した運動障害に対する治療法に経頭蓋磁気刺激を併用し、臨床に還元しやすい治療効果の増強のための研究を行いました。また、同研究では、反復性磁気刺激を併用したリハビリテーションの介入前後で脳MRIによる脳容積の変化を見た結果、運動に関する脳領域で有意な脳容積の変化(増加)が認められています。

後遺障害認定対策

「自動車事故医療研究助成」(公募)

交通外傷に関する有益で有効な研究を支援しています。